穂村弘著「現実入門」を読んだ。シュールすぎるじわじわ系のエッセイだと思う。

先日、佐藤雅彦さんの「毎月新聞」の書籍レビューをここで描いたが、穂村弘さんの「現実入門」という本も併せて購入した。
タイトルが同じく四字熟語になっているがそれはただの偶然だ。 

現実入門


ちなみにこれが先日一緒に購入した書籍。

blog.ma4yi1ji2.com

実は最初、読み始めたとき20ページくらい進んだところで読むのをやめた。一度挫折している本だ。しかし数日経過してから2度目に読み始めたときにはあっという間に読了した。今思うとなんで挫折したのかよくわからない。あれから数回読み返している。

本の概要についてはamazonとかで読んでいただければ良いのだが、ようは結婚したことがなかったりしゃぶしゃぶを食べたことがなかったり(その後しゃぶしゃぶは37歳のときに経験されたそうだ)ととにかく人生経験の少ない著者・穂村さんがありとあらゆることに挑むという内容のエッセイ。もとは某出版社の編集者である「サクマさん」なる女性より「人生で未体験のものを実際に体験してエッセイを書きませんか」と依頼され、サクマさんも一緒に体験するというものだ。

内容を見たときぶっちゃけ結末がわかってしまったのだが、その「結末」自体が果たして自分が予想した結末と合っていたのかそうでないのか…どちらとも取れるしどちらかわからない。完全に読み手を煙に巻いて終えている。これはやられた。

が、読みどころはこのエッセイの結末ではない。
体験するできごとの内容はもちろんではあるのだが、とにかく「穂村弘」という一人の男性が紡ぎ出す言葉ひとつひとつがシュールで笑えるのだ。

靴のなかがぐじゅぐじゅになったとき、みんなはどんな風に気持ちを立て直しているのだろうか。木村拓哉なら、どうか。高倉健なら、どうか。ニューヨーカーなら、どうか。パリジェンヌなら、どうか。わからない。ただ考えれば考えるほど、自分はそのどれでもない、という気がする。私はほむらひろし。パリジェンヌではない。 

一体どこからこんな発想がくるのか、凡人の自分には理解ができない。

そして、文中で出てくる穂村さんの「え、う、あ」「はひ」などの返事。極端におどおどした様子&人間臭さが思いっきり出ており何度読んでも笑える。
また、いちいち挙動不審気味になっている穂村さんと同行しているサクマさんの「きらきらした目」というコントラストも笑えてくる。

この本を読んで「穂村弘」という一人の男性をもっと知りたくなった。恐ろしく素朴で恐ろしく人間臭い。そしてやっぱり変な人だ。ああ、穂村さんも一人の人間なんだ、そう思ってなんか理解不能なんだけれど妙な親近感を持ってしまった。
そういうわけで「現実入門」に引き続きただいま「世界音痴」を読んでいる。

世界音痴〔文庫〕 (小学館文庫)

世界音痴〔文庫〕 (小学館文庫)

 

なお、「現実入門」の中に出てくる「人生経験リスト」はこの「世界音痴」という本の中に書いてあったものである。
そして穂村さんご自身は2005年にご結婚されたそうだ。

「現実入門」。この本はどちらかというと「じわじわくる」系かと思う。

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)